『秒速意思決定』! 上場請負人となる公認会計士のキャリア!!

『秒速意思決定』! 上場請負人となる公認会計士のキャリア!!

株式会社エアトリ 代表取締役社長 兼 CFO 柴田裕亮(しばたゆうすけ)氏 公認会計士
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2016年3月に東証マザーズに上場、2017年3月には東証一部に指定替えと、加速度的に成長している株式会社エボラブルアジア。入社後10カ月でIPOを果たし、その成長を支えている、取締役CFOの柴田裕亮氏にお話を伺いました。
柴田氏が転職の際に抱いた葛藤、エボラブルアジア社の急成長を支える仕事術「秒速意思決定」、今後のキャリアを考えている会計士の方々へのアドバイスなどは今後、事業会社に転職したいと考えている会計士の方はもちろん、今後のキャリアについて、まず何をしたらよいのかわからないという方にも参考になるのではないでしょうか。
また、柴田氏によれば同社では、会計士が活躍できるフィールドが拡がっているとのこと。そのため同社では積極的に会計士の採用をしている。管理部門・投資事業部の強化、子会社、投資先のCFO候補等、IPO後も会計士が活躍できる場はまだまだ広がりそうだ。

エボラブルアジアCFOの監査法人時代
―柴田さんが会計士を目指された理由からお聞かせください。
大きく3つあります。1つ目は大学の学部選択の理由まで遡ります。
端的に言えば、経済学部に入学したのですが、知らない人が大きく損をするというような情報格差の世の中の仕組みや社会科学全般に興味関心がありました。
しかしながら在学時に学問としての経済学を学ぶ中で、学問と実際のビジネスの乖離を大きく感じ、今度は学問の道を進むよりもビジネスの世界を広く学びたいと思うに至りました。

2つ目は学生時代に所属していたサークルで会計士の先輩と話し刺激を受ける機会がありました。学生がビジネスプランを作っていくサークルで、そこで色々ビジネスプランを考えて発表していく中に、アドバイス役として会計士の方が来られていました。
理路整然と話していて、私も世間知らずだったので、この人たちすごいなと衝撃を受けました。このサークルが現職のエボラブルアジア代表の吉村との最初の接点でもあります(笑)、

3つ目は学生的な思考ですが、早く一人前の自立した人間になりたいと思ったことですね。
資格を持ち、自らの能力で自立して稼いでいく人が、当時の私には一人前の社会人像でした。
この3つから会計士を受験しました。

―監査法人トーマツを選ばれた理由を教えてください。
監査法人トーマツにした決め手は明確で、トータルサービス部(以下、TSという)に入りたかったことに尽きます。TSがなければ、監査法人ではなく他の道を進んでいたかもしれません。
大学3年生の時に2次試験に合格していたため、多少ですが他のキャリアも考えました。国家公務員や、外資系の金融機関、コンサルティング会社などを検討し、内定をもらっていた企業も何社かありましたね。

―TSのどのようなところに惹かれたのでしょうか?
「人」と「理念」に惹かれました。
TSで実際にご活躍されている先輩にお話を聞く機会があり、メンターとして色々とアドバイスを頂きました。そして、『トラステッドビジネスアドバイザー=信頼されるビジネスマンたれ』という理念に惹かれました。
ともすると監査人は会社のチェック機能になりがちですが、TSの「会社や社長に信頼されるビジネスマンになる!監査以外も何でもします!」という泥臭い理念に強く惹かれました。

―監査法人トーマツで実際やりがいに感じていたことは何でしょうか?
大きくは2つあります。
1つ目は、クライアントに近い立場、同じ方向を向いて仕事ができたことは非常にやりがいに感じていました。
2つ目は、信頼できる先輩、後輩、同僚がいて、チームでクライアントの課題解決に取り組んで成果を出していくことができることにもやりがいを感じていました。

今思えば、私の新人時代はかなり生意気だったと反省しています。
「仕事ができればいいでしょ」と斜に構え、先輩方にたしなめられていました。
「辞めてやる!」って何回言ったかわからないですね(笑)
そんな自分を懐深く育てて頂いた先輩方に本当に感謝しています。

TSでは組織として「育てる」教育ではなく「育つ」カルチャーがあり、早い時期からチャンスを与え、人をタフにする環境があったと思います。

―監査法人在職時は、どのようにキャリアアップしていきたいと考えていましたか?
波はありましたが、ずっと迷っていたと思います。
将来『こうありたい』というのはずっと見つかっていませんでした。
総じてチャレンジする機会も多くあり、2~3年先を見てチャレンジングだと思えれば残るという割と短期的な視点しかなかったと思います。

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エボラブルアジア社CFO就任の裏舞台
―エボラブルアジア社に転職されたのはいつになりますか?
2015年5月にCFOとして入社しました。
当時エボラブルアジアにはCFOが不在で、5月~7月で実績作って、8月で審査入りというギリギリのタイミングでジョインしました。

―エボラブルアジア社への転職の背景をぜひおしえてください!
エボラブルアジア社に転職をしたのはご縁とタイミングが重なった結果だと思います。
出向していた証券会社から帰任した後、2012年から私はクライアントの上場支援に関わっていました。上場支援をしていた担当クライアント4社が2014年秋から2015年春にかけて続々と上場を果たしていきました。やってきたことが結実していくタイミングですね。積極的に活動したわけではありませんが、私個人としては、次は何にチャレンジしようか、ふと考えるタイミングではありました。
そのタイミングで、東京大学のサークルでも一緒だったエボラブルアジア社の社長と再会し、声をかけて頂いたという流れです。

―最終的な転職の決め手は何でしたか?
直感でほぼ決めていたと思いますが、一番の理由は、「意思決定する事業会社側としてやってみたい!」という思いでした。これまでアドバイザーという立場でクライアントの上場を果たしてきましたが、やはりその思いは日に日に強くなっているところでした。
一方で監査法人トーマツの中で、今後の部門経営に対する責任と、部門の在り方に課題意識を持っていて、マネージャーとしてもっと頑張っていかなければ!私が次世代を担っていかなければ!という思いもあり葛藤はありました。
最終的には、自分がチャレンジしたいなと思ったことに一歩踏み出しました。

事業成長を支えるCFOの仕事・意思決定のあり方とは!?
―エボラブルアジア社にご入社されて一番初めに取り組まれたことは何ですか?
上場準備ですね。決算体制を整えるところから取り組みました。
私が入社したのもギリギリのタイミングでしたが、当時は管理部門人材が定着していなかったこともあり、これまでの成果も散らばっている状況で、全体として上場準備が遅れていました。そこの立て直しに一年くらい全力を注ぎました。

―上場後はやはり達成感はありましたか?
上場は私の責任だったので、達成感というよりも安堵感の方が強かったですね。
上場前にCFOという立場で入社をしているので、上場できなかったら辞めるしかないという覚悟でやっていました。
なので、上場後はやっと居場所がちょっとできたぐらいです(笑)

―エボラブルアジア社にご転職され、仕事のやりがいは何ですか?
凄まじい成長スピードの中で、私がそれを支えながらうまく形にしていくことにやりがいを感じています。
カリスマ2人のオーナーに率いられ、もともと成長ポテンシャルがあった企業が、上場後は更に事業成長のスピードを上げています。会計士として上場メリットについて研修等もしていた立場でしたが、全くわかっていませんでしたね(笑)
実際上場してこんなにメリットがあるものかと改めて実感しています。

―転職されて一番成長したなと感じる点はありますか?
会社に貢献できたことは上場ですが、自分が成長した、視野が広がったという意味では「組織の中で責任のある人の在り方」でしょうか。
管掌している、経理財務、総務人事、法務、広報、M&A・投資、IR、各種業務改善と色々あったのですが、人事だけは畑違いで全然わかりませんでした。視野を広げ、試行錯誤していく中で、組織論的な考え方が深まったと思います。

―事業会社の仕事で大切にしているポイントはありますか?
仕事で大切にしていることは、当社の行動規範でもある「即対応、即実行、スピード」ですね。
私は監査法人の新人時代から対応スピードが遅い方でした(笑)
TSでもかなり鍛えられて変わっていたはずですが、エボラブルアジアに入社してまだまだ足りていなかったなと実感しています。
更に今の立場で求められているのが「意思決定」のスピードです。
事業会社に転職して、日々凄まじく意思決定することがあり、決めなきゃいけないことが無数にあるなというのを学びました。
意思決定をどれだけスピード感持ってやるか、今ものすごく意識していますね。
2人のオーナーにスムーズに意思決定してもらうというのも難しい。
よく「球が動かない」という話もあると思いますが、動かないときはそれなりに理由があって、決めるほどの材料がそろっていないことがあります。
「意思決定の在り方」というのを学びました。
それらが秒速で回ってくるので、即対応、即意思決定(笑)

―柴田さんが今後チャレンジしたいことをお聞かせください。
今後チャレンジというかやるべきことを挙げるときりがないですが(笑)
・投資、M&Aを積極的におこない、子会社や投資先の上場も含めて、企業価値向上に寄与すること
・IFRS(国際会計基準)導入プロジェクトの推進
・IRにおいて、海外IRも含めて成果を積み上げること
・第二創業期として採用・教育・評価プロセスの再構築を行い持続成長できる組織体制を作ること
また、最近実感していることは、会社のステージによってCFOの役割が変わってくるということです。上場する時と今では会社の課題も全く異なります。
刻一刻と会社は成長し変化し続けており、会社の成長スピードに合わせて自分を成長させていくことがチャレンジだと思っています。

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会計士の今後のキャリアについて
―今後のキャリアについて考えている会計士の方にアドバイスをお願い致します。
アドバイスとしては2つあります。
1つ目は視野を意識的に広げた方がいいということです。
いつ始めても遅くないとは思いますけど、できるだけ若いうちから視野を広げるという事とを始めた方がいいと思います。
極端な言い方をすれば、組織は、従業員を「洗脳」していきます。知識や経験を通して価値観までも。
会社が、自社で活躍するために人を育てるという事は当然の仕組みです。

私の尊敬するジョージ・ソロスのことばで「市場が常に間違っている」という言葉があります。投資の哲学でもありますが、人間は間違えるもので、自分の考えが間違っている、もしくは間違えるかもしれないという事を前提にして、物事を見た方がいいと思います。

自ら行動し情報を取りに行くとか、監査法人以外の人に会い、広い価値観に触れたりすることで視野が広がると思います。

2つ目は、一歩踏み出す事ですね。
特に、会計士として活躍している皆さんは、まず行き倒れたりはしない(笑)
成功している人にスポットが当たりがちなので、それも疑った方がいいとは思いますけど、私の周りを見渡しても本当の意味で失敗している人はいないと思います。
これも意思決定の要素の1つとして、ワーストシナリオを考えた方がいいと思いますが、どんなにワーストシナリオでも、絶対に生きていく場所があるのが会計士です。
私も監査法人にいる間はわかりませんでしたが、今外に出てみて、会計専門家の需要がこれだけ高いとは思いませんでした。
つまりチャンスがあるし、ワーストシナリオでも行き倒れないから大丈夫。
会計士だからこそ、一歩踏み出す勇気を存分に活用していいのかなと思います。

―柴田さんは一歩踏み出されたわけですね!
私も、実はすごく怖かった(笑)
大手監査法人を出る事のリスクはすごく考えたし、外に出て活躍できる確信というか自信もありませんでした。
監査法人にいると事業会社側に何があるのか、何を考えているかわからない怖さがありました。クライアントのCFOと話していても、明らかに私が見えていない世界が圧倒的に広がっているのを感じていたので、そのCFOポジションが自分にできるのか不安でした。
監査法人から転職しようとした際、「トーマツの先輩にお前は絶対ベンチャーのCFOには向いていない」って何度も言われましたしね。

―仮に監査法人に戻るとしたらどのようなことに取り組みたいですか?
監査法人のKPIの設定、組織の作り方、人材の育て方等、色々と思いつきますね。
私が仮に戻るとしたいら、クライアントの要望に高いレベルで対応できるような人材・組織をどうやって作っていくかというところに取り組みたいですね。
もう一度、「TSを作ってやるぞ!」くらいやれたら面白いと思います。
みんな変えたいとは考えているけど、それを変えていく、それを生み出していくのはものすごいエネルギーがいるから、難しいですよね。
だからこそですが、大手監査法人は、どんどん人材を輩出して、戻せばいいと思いますね。
人材輩出企業と呼ばれている会社は、非常にうまくやっていらっしゃると思います。どんどん人材を輩出して、その方たちの力も使って成長していると思います。
大手監査法人においても、まさにそうすべきだと思います。

―柴田さんは転職して良かったと思いますか?
間違いなく良かったと思います。

一転職して最も良かったと思われる点はなんでしょう?
全てですね(笑)
環境、経験、人脈、それとストックオプションを頂いているので収入としても良かったなと思います。

―今後のご活躍を祈っております!
本日はお時間頂きありがとうございました。

interview04_4.pngProfile
柴田裕亮(しばたゆうすけ)
1982年生まれ 神奈川県出身
東京大学経済学部経済学科卒業
2005年 監査法人トーマツ
(現・有限責任監査法人トーマツ)入社
2010年~2012年野村証券株式会社に出向
2015年 株式会社エボラブルアジア 取締役CFO就任
2018年5月 株式会社エアトリ(旧称 株式会社DeNAトラベル)取締役に就任
2019年1月 同社 代表取締役社長 兼 CFOに就任

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