本気で挑戦することから逃げるな 自分を追い込みやり抜く経験が成長へとつながる

本気で挑戦することから逃げるな 自分を追い込みやり抜く経験が成長へとつながる

税理士法人グランサーズ 代表社員 筧智家至氏

税理士法人グランサーズ 代表社員の筧智家至氏にお話を伺いました。筧氏は慶應義塾大学在学中に会計士試験に合格。有限責任監査法人トーマツ(以下トーマツ)へ入所し、約8年間の国内監査業務を経て、税理士法人グランサーズを設立した。ご自身が一刻も早い成長を目指し常に挑戦を続けてきたからこそ、若手会計士には"もっと挑戦してほしい"と感じている。その熱い想いを聞いてきました。

成長するためにあえて厳しい道を選び続けた     
私の会計士としてのキャリアは有限責任監査法人トーマツ(以下トーマツ)から始まりました。トーマツを選んだ理由は大手4社の中でも厳しいと評判だったからです。私の父は自営業でした。父の事業が傾いていくのを見ていた私は、『手に職をつけないと』という危機感を持っていました。そのため、資格を取り厳しい環境で、若いうちから早いスピードで成長していきたいと思っていました。

トーマツ入所後は、必死に働きました。積極的に手を挙げて仕事を取りにいき、多い時には20社以上のクライアントを担当していた時期もありました。8年ほど勤めましたが、終電帰りは当たり前で、定時で帰った日は1日か2日くらいだと思います(笑)

成長するためには、量と質どちらが欠けてもいけないと思っていたので、仕事量も膨大でしたが、質にもこだわって働きました。質にこだわる過程でお客様とぶつかることもありました。お客様の希望に沿って進めたほうがスムーズに案件が進むことは確かですが、曲げちゃいけない部分もあります。こちらの主張が正しいと思ったときには、納得してもらえるまで何度も粘り強く説明しました。時にはお客様から厳しい言葉を頂くこともありましたが、伝えるプロセスを工夫し、誠意を持って説明し続ければ、ほとんどのお客様は納得してくれました。今もお仕事を頂けているのは、本気で向かい合った姿勢を評価していただけているのだと思っています。

理想の会計士像を目指し独立              
トーマツ時代に私がこだわっていたのは、"お客様の本質的な満足"と"寄り添う姿勢"です。杓子定規にならずに、お客様の気持ちを深くまで考えた提案を心掛けていました。しかしながら、会社組織のノルマを考えた時に、効率よく案件を回すことを優先する場面が増え不満を抱えていました。その不満がピークに達したのがマネージャーになった後です。

社内調整業務の割合が増え、お客様に向き合える時間が少なくなり、このままでは自分の理想とする会計士像からどんどん離れていってしまう。"成長速度"という観点で、マネージャーとしてメンバーを動かすだけでなく、自分自身がもっと汗水流して頑張らないと、50歳になった時の私がダメになってしまうという危機感があり、次のステップに進もうと決心しました。

監査法人を退職しようと決めてから、4つの選択肢を考えました。他監査法人への移籍、コンサル会社への転職、事業会社への転職、そして独立開業です。
今の若い時だからこそ独立開業というリスクのある選択ができる、年齢を重ねてからの独立は、失敗した時のリスクが大きいと思い最終的に独立開業することを決め、筧公認会計士・税理士事務所(現:税理士法人グランサーズ)を立ち上げました。

今のやりがいは「雇用を生み出し従業員の幸せを追求すること」      
リスクをとって独立したのだから、トーマツではできなかった"理想の会計士像"をとことん追求しようと思っていました。必死にお客様に向き合い、お客様が喜んでくれれば当然嬉しかったし、やりがいを感じていました。
その一方で、人材を採用し、会社が大きくなるにつれてそのやりがいが変化してきました。現在の私の一番のやりがいは、"社員の幸せを追求すること"です。

法人設立をして3年目頃の浜松への展開がきっかけでした。支店を出すという話の時点で浜松の方がとても喜んでくれました。地方にとって、雇用先が生まれるのは、私が考えているよりもインパクトのあることだったんだと思います。地方で雇用を創出することは、大切で、素晴らしいことなんだと気付かされました。

更には、社会保険に入り、パートの方へもボーナス支給できるようになると、私としては、当然のことをしているつもりだったんですが、その度に皆が喜んでくれます。
一人でやっているときは、自分とお客様のことだけを考えていましたが、今はキャリアを預けてくれている社員がいて、彼らを雇用している責任があり、生活を守り続ける責任があります。これを機に、雇用を生み出すこと、従業員の生活を守り、幸せに働いてもらうことが今の私のミッションであり、大きなやりがいになっています。

一方で、私が社員に求めるレベルは高いと思います。従業員の生活を守ること、幸せに働いてもらうことは必ずしも甘やかすことだけではありません。仕事を通して成長してもらうことも大事な要素の一つだと考えております。ここでいう成長とは、ビジネスパーソンとしてはもちろんのこと、人間としての成長です。そのためには、時に厳しく指導することもあります。

一人ひとりに裁量を渡したり、知見を共有できるプロジェクト体制を構築したり、会社としてのサポートにも全力を尽くしています。従業員の成長がグランサーズの成長にも繋がり、いつか日本で一番の会計士事務所になるのが私の夢ですね。
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本気で挑戦することから逃げるな           
大手監査法人と独立開業を経験してきた上で、後輩に伝えたいことは、「逃げずに挑戦してほしい」ということです。会計士は賢い方が多いなと感じると同時に、賢く生き過ぎているなと思います。やりたい事、チャレンジしたい事に労力を注ぐというよりは、賢く生きることに労力を注いでいて、「もったいないなぁ」と感じる時があります。自分を追い込んででもやり抜く経験に一歩踏み出せないでいる気がします。

監査法人は人材不足なので、野心がなくてもやっていけてしまうという環境にも要因はあると思います。しかし、その働き方を続けていて、40代・50代になった時に「あの時もっと本気で挑戦しておけばよかった」と後悔しても遅い。そうした後悔をしないためにも、監査法人を出て環境を変えるというチャレンジをするのも一つの選択肢だと思います。転職も独立も、自分の人生を左右する決断です。だからこそ「なぜ自分は会計士になったんだろう」という原点に立ち戻るはず。会計士になるために個人差はあれど自分の時間、人生を費やしてきているはずです。大げさに言えば人生を費やして得た仕事に相応しい仕事が今できているのか、いつの間にか、安心・安定を守るための仕事に変わっていないのかと自省してみてほしい。そして、会計士を目指した時の自分の気持ちや、会計士が担うべき社会的な使命を再確認した上で、自分らしい挑戦をして、羽ばたいて欲しいなと思います。


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Profile
筧智家至(かけひちかし)
愛知県出身
慶應義塾大学商学部 卒業
監査法人トーマツ(現 有限責任監査法人トーマツ)を経て
筧公認会計士・税理士事務所(現:税理士法人グランサーズ)を設立