経営参謀として信頼される会計士のキャリアとは!?

経営参謀として信頼される会計士のキャリアとは!?

小見山公認会計士事務所 小見山慶子さん(公認会計士)

KPMG(あずさ監査法人)卒業後、慶應義塾大学大学院経営管理研究科(以下KBS)にてMBAを取得、デロイトトーマツコンサルティング(以下DTC)へ転職し、一線のキャリアを積んできた小見山慶子さんにお話しを伺いました。
現在は「中小企業の経営参謀になりたい!」という想いから、小見山公認会計士事務所の会計士としてご活躍されています。オープンマインドで耳の痛いことも笑顔で率直にお話される、その姿勢には一貫した想いを感じました。小見山さんが目指し努力している「会計士像」は多くの若手会計士にも共感いただけるのではないでしょうか。

KPMGで会計士として経験できたこと ―会計士資格を目指した理由を教えてください。
親族の影響もあり、幼いころから「会計士になるんだ」と思っていました。また、父からは「会計士は会社のお医者さん。会社の悪い部分を治してあげて元気にさせてあげる仕事なんだ」と聞いていたこともあり、会計士になって監査を続けるというよりは会計士になってコンサルをするというイメージが昔からありました。 在学中に会計士試験(現、二次試験)に合格できたので、まずは会計士として監査の経験を積ませてもらおうと思いKPMGに入所しました。ただ、将来的にはコンサルをと思っていたので、早い段階で次のキャリアを意識していたとは思います。


―KPMGに入所した決め手は?
説明会でKPMGの方のお話を伺って、直感で「ここに行きたい!」と決めていました。
実際、先輩方は皆さん優秀で、何事にもモチベーションが高く、イキイキと働いている素敵な方々ばかりでした。
皆さんバリバリ働かれていて、私も配属当初から夜中まで仕事、土日も出て2週間丸ごと勤務という体験もして、「働くってこういうことか」と一瞬にして意識改革されたように思います。(笑)

―KPMGで小見山さんが担当されていた仕事を教えてください
特に「語学力を活かしたい、伸ばしていきたい」と考えていたこともあり、一番初めに担当した国内の大手電機メーカーの他は、外資系のクライアントを中心に英語ネイティブのイギリス人上司の下について担当することが多くありました。
担当企業の多くは小規模でしたのでチームメンバーも少なく、早い段階で現場主任を任せて頂きました。当時はUS-SOX、J-SOXの導入時期だったため、内部統制についても豊富な経験を積むことができたと思います。

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会計士が戦略コンサルタントとして活躍するためには!?
―早い段階から転職を意識されていたということですが、KPMGを退職してKBSで勉強しようと考えられた理由を教えてください。
早い時期から現場主任を任され、一定の経験値を早く積むことができたと考え、本来やりたかった戦略コンサルにチャレンジしようと考えました。
ただ、会計士の経験では、会計と語学という武器しかなかったので、コンサルで働く前にマーケティングの知見を身に着けたくてKBS(慶応義塾大学大学院 経営管理学科)に入学しました。

―KBSの2年間はいかがでしたか?
すごく楽しかったです。
平日は毎日、朝からで夕方まで、ディスカッションを中心とした授業がありました。
クラスや班が決まっていて、日中は一緒に授業を受け、授業の後残ってディスカッションして、最後飲みに行くという流れで基本的に一日中一緒にいた気がします。
多くのビジネススクールは仕事をしながら夜に通うスタイルだと思いますが、KBSでは朝から晩まで一緒に勉強に集中でき、一人一人と深い繋がりを持つことができました。

―とてもいい人脈形成の場ですね
本当にそう思います!
当時の勉強仲間は、今でもビジネス、プライベート両方においてお付き合いが続いています。お仕事に繋がるような相談もありますし、お互い刺激し合える仲間と出会えました。

―KBS卒業後はDTCにご入社されていますが、DTCでのご経験を教えてください。
DTCでは、専門性を決めず、色々なプロジェクトに携われるユニットに配属させて頂きました。自分の専門性を決める前の段階ですね。
私の最初の仕事はポストM&A(契約後の経営統合)のプロジェクトでした。その次に、プレM&A(契約前の選定やDD等)のプロジェクトを経験しました。KPMGの時代も会計士としてM&Aに関わったこともあり、売る側と買う側、売る前と売った後、会計士とコンサルという様々な立場からM&Aを経験できたことは非常に良かったと思います。
またKPMGでは、KPMG自身があずさ監査法人との統合の最中だったため、当事者視点でも組織統合の難しさや重要度も体感することができ、貴重な経験ができました。
その他には、いくつかの会社の新規事業を企画するプロジェクトも経験しました。

―事業会社に入り込んで新規事業の企画に携われるのも面白そうですね!具体的にはどのようなことに取り組まれたのですか?
詳しくはお話できないのですが、研究チームと経営チームのそれぞれの考えを繋いで、新規事業の事業計画を策定する仕事や、全く会社が取り組んでいない領域の事業に進出するのは可能かという分析、あとは省庁がらみの仕事もありました。
事業計画の策定や新規事業をするにあたっての分析はKBSでの勉強やM&Aのプロジェクトで経験したことがダイレクトに活かされました。

特にM&Aのプロジェクトでは短期間での意思決定を必要とされていますので、短期間でいかに正しい数字をはじき出すか、非常に学びが多かったと思います。
DTCでの仕事の多くはとてもハードでしたが、やりがいもある仕事でした。

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クライアントの経営参謀として信頼される会計士の役割
―現在の小見山公認会計士事務所における小見山さんの役割を教えてください
監査チームのプレイングマネージャーとして主に監査業務に従事しています。
監査業務が6割、経営者の参謀としてのコンサルが3割、社内業務が1割というイメージですね。
少しずつではありますが、KBSで学んだマーケティングや、DTCでのコンサルの知識を取り入れて、本来やりたかった仕事を少しずつやろうとしているところです。

経営者から現在の経営状態について相談を受けるところから始まり、会計、税務、コンサルの知見をフル動員しながら、経営者と共に中長期の経営計画を策定したり、どのように売り上げを伸ばしていくかを考えたり、経営の参謀として会社づくりに貢献していく仕事にとてもやりがいを感じています。

―会計・税務以外では、例えばどのようなサポートをされているんでしょうか?
例えば、売上に季節変動のあるクライアントからの相談で
「季節変動があっても会社を安定させるために何をしたらよいか?」という相談を受けたとき、会計・税務だけではお応えしきれませんが、KBSで学んだマーケティングや、DTCでの知見を活かすと4つくらいのオプションを提案することができます。
・オンシーズンにガンガン売る
・売れない時期に売れる商品を作る
・毎月固定で収入になるサービスを創る
・コストを下げる
もちろん、ここから更に具体的な施策を考えていきますが、会計・税務に限らず、売り上げを伸ばすためにはどうしたら良いか、何が消費者インサイトか等、客観的なアドバイスをすることにより経営のサポートをしています。

―監査業務は大手監査法人とは、どのような違いがありますか?
お客様と経営の話をしつつ、オーダーメイドで作っていく本質的な監査ができているのかなと思います。この点は、現在の大手監査法人とは違うところだと思います。
内部資料の作成等はほとんどなく、経営者や経理部の方としっかりとコミュニケーションをとっているため、良い人間関係を構築できていると思います。

―小見山さんが今後チャレンジしていきたいことはありますか?
今はまだ業務の一部ですが、もっともっと経営全般にサポートできるクライアントを増やしていきたいと思っています。
税務だけではなくて経営・マーケティング、人事・労務面の経営者が抱える課題に対してアドバイスし、経営者の参謀として活躍していきたいと考えています。
そのためにも、私自身も勉強を続け、成長していきたいと考えており、今は大手メーカーの創業者が先生となり、少人数で学べる経営塾で経営の一番泥臭いところを学ばせて頂いています。

―泥臭いところとは?
従業員のモチベーションをどのようにキープするか、どのようにしてコストを抑えるか、いかに売上を上げるか、新規事業はどうするか、競合をどのように調べればよいか等、色々教えて頂いています。
また先生が経営者として苦労されてきた点を色々教えて頂けることと、その経営塾に参加されているのは、経営者の方々なので、お話をしていても大変勉強になります。

―現在1.5歳のお子さんがいらっしゃると伺いました。育児とお仕事を両立させながら、更には勉強の時間も捻出されていらっしゃるのですね!?何か工夫されているポイントはあるのでしょうか?
自分が興味のある勉強は楽しいことですから、まったく苦ではありません。楽しいと思えることが多いので、色々頑張っていきたいと思っています。

仕事は 、子供のお迎えもあるので、就業時間内に効率よく取り組むことを意識しつつ、終わらなかった仕事は家で夜中や早朝にやっていますが、、、
お母さん業は本当に大変ですね。。。(苦笑)
実際になってみないとわからないことが多々あり、思っていたのより何十倍も大変で、、
子供はとっても可愛いので頑張っていられるのですが、ホント、お母さん達ってすごいですね。

今は実家の母や義理の母、また既に母になっている友人たちにいろいろアドバイスをもらいながらなんとかやっています。(笑)
特に料理は好きなので、息子にいろいろ作っているのですが、最近はイヤイヤ期なせいか、味の濃い食事しか興味を示してくれなく困っています。

―現在、監査法人にお勤めされ、今後のキャリアに悩んでいる会計士の方たちにアドバイスをお願いします。
仕事を続けるのも、転職をするのも、まず出会いやきっかけが重要だと思います。
会計士の次の道としては、事業会社の経理、M&A、ベンチャー支援等が多いと思いますが、動き出さないと誰とも出会えないし、新しいことに気づくきっかけも少ないのかなと思います。
自ら動くことで、良い人や考え方に出会い、具体的に動くことで、次のキャリアとして興味があるものと興味がないものに分かれてくると思うので、その時に興味があるものに一歩踏み出してみると良いと思います。

―本日はお忙しいところ貴重なお時間ありがとうございました 。


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Profile
東京都出身。青山学院大学国際経済学部卒業
慶応義塾大学大学院 経営管理学科(MBA)卒業
2005年 KPMGあずさ監査法人(国際部)入所
2011年 デロイトトーマツコンサルティング
2012年 小見山公認会計士事務所 代表社員

趣味
ダンス、料理、読書

休日の過ごし方
夫と協力して家事を片付けた後は子供と遊んだり
友人達とお茶やご飯したりしています。

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