目の前のことを全力投球しながら、あるべきキャリアパスを探し求めていく

目の前のことを全力投球しながら、あるべきキャリアパスを探し求めていく

マネーフォワードシンカ 株式会社 マネージングディレクター 中山潤氏 公認会計士

埼玉県出身。2007年12月監査法人トーマツ さいたま事務所に入所、2013年6月アドバイザリー事業本部へ異動。財務DD、バリュエーション業務、組織再編、リスクマネジメント等様々なコンサル業務を経験される中で、とある中小企業の経営者から資金繰りの相談を受け、何もできなかったことをきっかけに事業再生に興味を持ち、2018年1月にみそうパートナーズに転職。事業再生に取り組みながら、より多くのお金の課題解決に貢献しようと、2020年1月にマネーフォワードシンカに転職し、新しい領域で活躍を続けていく中山氏。これまでのキャリアを振り返り、軸としていたものや意思決定の背景をざっくばらんに伺いました!

お金の問題に直面したつらい受験生時代がキャリアの礎に                 
―会計士を目指したきっかけを教えてください。
漠然と会社経営に興味があって経営学部に入りました。3年生になって将来のことを考えたときに、このままだとキャリアプランが見えない、何か自分に強みを持つために資格を取ろうと思い、公認会計士試験にチャレンジしようと決意。在学中からTACで勉強し、卒業してからも約2年間勉強して、24歳で合格することができました。

大学を卒業してからの2年間は、精神的・金銭的につらかったです。周りはすでに社会人としての自覚も収入もあるなかで、いまだに収入もなく受験生を続けている自分を情けなく感じていました。3年目も不合格。親にこれ以上迷惑をかけたくないので受験をやめようと思ったとき、いつもは厳しい親が「ずっと応援しているから頑張れ」と逆に優しくしてくれて、「こんなところで弱音を吐いている場合ではない、がんばろう」と奮起しました。合格した瞬間は泣きましたね。お金に関して悩んだこの受験生時代の経験が、その後のキャリア形成にも大きく影響しています。

―合格後のキャリア選択の背景を教えてください。
当時は就職先を選べる恵まれた時代だったので、Big4はすべて検討しました。最終的に監査法人トーマツさいたま事務所を選択したのは、大手監査法人の良さもありながら、超大手企業というより、地元の著名企業を多く担当していたのと、所内全体が見渡せる規模感がいいなと感じたからです。小さい事務所なので、初日から先輩ともすぐ仲良くなれました。

アドバイザリー業務の面白さに目覚めた大手監査法人時代                 
―トーマツでは当初どんなキャリアイメージを描いていましたか?
キャリアについては漠然としていました。チームの主任・副主任をやるというのが1つの目標で、まずはそこまでがんばろうと。当時はとにかく忙しかったので、目の前のことを一所懸命やるだけでした。

―部署異動のきっかけ、背景を教えてください。
監査以外にチャレンジできる業務はないかなと考えていた時に、2012年に東京のM&Aアドバイザリーをやっているチームから財務DD案件の人手が足りないと募集があり、とりあえず手を挙げました。やってみたらとても面白い仕事だったので、「もっとやってみたい!」と思い、異動希望を出しました。

ちょうど入社して5年目で一通り監査をこなせるようになっていたので、これからどうしようかと思っていた時期でした。何か新しいことをやってみたいと、IPOのショートレビューやコンサルなど、いろいろなことに手を挙げてやらせてもらったのですが、なかでも財務DDが面白かったんです。

財務DDはお客様の立場に立ってリスクを調査し、M&Aという大きな意思決定に役立つ情報提供をするというのが仕事です。監査業務の経験も生かせますし、これは面白いな、やりがいがあるなと感じました。

アドバイザリー事業本部には5年近くいました。最初の2年くらいは財務DD、バリュエーション業務など、いわゆるM&Aの業務を担当し、次第に他部門やDeloitteトーマツグループ各社との組織再編やPMI、リスクマネジメント、グループガバナンスなどのコンサルプロジェクトを幅広く担当するようになりました。新規案件の募集があったときに手を挙げて一度一緒に仕事させてもらった後は、次からは自然と声がかかり、次の仕事、ステップにつながっていったという感じです。

―当時は相当忙しかったのではないですか?
はい。異動して驚いたのは、下っ端で経験ゼロでもプロジェクトマネージャーとしての認識を持たされることでした。監査では主任又は副主任から指示を受けて仕事をすることがほとんどだったので、面食らいましたね。

ある未経験のテーマのコンサルプロジェクトを担当した時、僕はチームの一番下っ端だったんですが、いきなり「中山さんがプロジェクトマネジメントをしてください。上司は品質担保のためにサポートはするけど、まずは自分で考えてやってください」と言われたんです。「え、僕が全部考えるんですか?まったくやったことがないテーマなのに・・・」とものすごいプレッシャーでしたね。

いま思えばこれが非常に良い経験だったと思います。勉強させてもらう、教えてもらう、というスタンスではなく、100%の当事者意識を持ってプロジェクトを回していくという意識で経験が積めました。おかげで、未経験の業種・テーマのコンサル案件がきても、自分でゼロから考えて、動かしていく力が身につきました。

―ご自身が大きく成長するきっかけになったプロジェクトはありましたか?
特定のプロジェクトではなく、すべての案件が自分の成長につながっていると感じます。強いて言えば、出会った先輩の存在が大きかったですね。その人と一緒に働けたことが、その後の自分のキャリアの大きな財産になったと思います。

先輩からは、本当にいろいろなことを学ばせていただきました。プロジェクトマネジメントの他、クライアントに価値を提供するために、成果物作成でも言葉1つ1つに徹底的に拘ることの大切さを学びました。
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中小企業の資金課題を解決するために事業再生会社へ転職                 
―2018年に転職されましたが、どんな思いがあったのでしょうか?
トーマツにいるとき、個人的にですが、ある中小企業の経営者から資金繰りの相談を受けたんです。でも、そのとき僕はほぼ何も答えることができませんでした。

それまでは業績が安定している大企業向けのコンサルが多かったので、資金繰りが厳しい時に何をすべきかは、ほぼ分かっていませんでした。経営者の方は追い詰められた状況にあって、会計士ならお金のことはわかっているだろうと期待して相談してくれているのに、僕は何もしてあげることができず無力感に打ちのめされました。

自分も受験生時代にお金に困った経験もありますし、こういう困っている人たちを助けられるようになりたいと思いました。これが、転職のきっかけです。時期的にも監査法人に10年近くいて居心地の良い職場で楽しく仕事ができていたのですが、成長曲線がちょっと緩くなってきているなという思いもあり、環境を変えてみようと思いました。

資金繰りに困っている中小企業を支援するためにはどこがいいんだろうと考えたときに、事業再生がいいのではないかと。そこで、事業再生に絞って転職活動を行いました。

―みそうパートナーズに決めた理由はなんですか?
会社の人と話したときの印象です。この人たちとなら一緒に働けそうだなと直感的に思いました。再生はロジックだけでなく人に寄り添って進めていくことが大事だと思うのですが、数社お会いした中で、みそうパートナーズが一番話をしやすかったです。どんな仕事をするかも大事ですが、誰と働くかもとても重要だと思っています。

―大きな監査法人から30人規模の会社に移ってみて、いかがでしたか?感じられたギャップがあれば教えてください。
ギャップはなかったですね。もともとさいたま事業所もそのくらいの規模でしたし、アドバイザリー事業本部で加入した部署も僕が入った頃はまだできたばかりで20人くらいしかいませんでしたから。みそうパートナーズは大手の監査法人からの転職者も多くカルチャー的にもギャップがなかったので、すぐ馴染めました。

―事業再生の仕事ではどのような大変さがありますか?
個人的には、事業も財務も同時に見るところが最初は大変でした。大手だと財務は会計士、事業は戦略コンサル出身者が担当するところもあるんですが、みそうパートナーズでは、事業と財務を両方見ていました。事業性評価は未経験だったので、ビジネスモデルを理解した上で再生できるかどうかを見極めるという仕事が最初は難しく、めちゃめちゃ勉強しました。

トーマツ時代にビジネススクールにも通っていたのですが、そこでビジネスモデルを俯瞰的に捉え、本質を抽象化して掴む訓練をしていたので、それを事業性評価に生かすようにしたら少しずつできるようになりました。

お金の社会課題をテクノロジーで解決すべくスタートアップ企業へ                 
―みそうでは2年働いた後、再びの転職となりましたが転職の背景をおしえてください。

実際に再生案件に関わってみて、次の課題にぶつかったんです。再生ではコスト削減に関してはある程度結果が出やすいのですが、そこから売上を伸ばすのが難しい。人間の体で言えば、出血はなんとか止まったけど、そこからどう健康体にしていくかというプロセスがなかなか進まないという壁に早々にぶつかりました。

やはり、お金や人が不足している中で再び業績を回復させていくには会社の仕組みを大きく変えることが必要なのではと思い、そういうテクノロジーを提供しているスタートアップへの転職を考え始めました。みそうでスタートアップ企業支援に関わったこともきっかけになりました。新しいことにチャレンジして社会を変革していくスタートアップのあり方を目の当たりにして、自分も微力ながらそういうことに関わっていけたらいいなと思いました。


―マネーフォワードシンカを選んだ理由は?
転職活動の軸としてあったのは、まず"お金や人手不足の問題をテクノロジーで解決している"スタートアップであること。受験時代の経験、トーマツ時代に資金繰りの相談に乗れなかった経験、みそうでもお金の課題にぶつかった経験があったので、特にお金の課題を扱っている企業を探しました。その中で出会ったマネーフォワードのミッション・ビジョンがまさにそこにあり、とても惹かれましたね。二次面接でシンカを紹介してもらった際に「自分のやりたいことがここにある!」と感じたので、マネーフォワードシンカに決めました。

―入社をされて9ヶ月目ですが、現在のミッションは?
フィナンシャルアドバイザーとして、スタートアップ企業の資金課題を解決し、事業成長を手助けしていくことです。CFOがまだいないフェーズであれば資金計画や投資家向け説明のアドバイスをしたり、資金調達の戦略を一緒に考えたりしています。財務は、常に先回りしてアクションしていくことがとても大切だなと思います。再生をやっていたときに資金繰りが非常に厳しい事態に何度も直面してきたので、いまではどんなときでも慌てず冷静に対処できます。

シンカはまだできたばかりで、皆でイチから事業と組織を作り上げている段階です。事業会社の事業開発部にいる感覚もあり、事業会社としての良さとアドバイザリー会社としての良さを両方持っているのが面白いなと思います。また、マネーフォワードはミッション、ビジョン、バリューにカルチャーを含めたMVVCがすごく浸透していて、カルチャーの一つにもSpeedがあります。頭の中でいくら考えていても、実際にやってみなければ分からないことが多いです。「スピード感を持って何でもやってみる」ということの大切さを日々実感しています。

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まずは何でもチャレンジ、やってみなければ何もわからない                 
―次のキャリアへ向けて悩んでいる会計士にメッセージをお願いします。

お伝えしたいことは2つあります。
1つ目は、目の前の仕事を一所懸命やって、先輩や同期との信頼関係をしっかり作ること。僕もいまでも監査法人時代や前職の人脈にとても助けられているので、自分とは違ういろいろなキャリアを積んでいる人にいつでも相談できる環境を作っておいてほしいですね。

2つ目は、まずはいろいろやってみること。自分自身を振り返っても、やってみないとわからなかったなというのが実感です。他のことをやってみてはじめて、やっぱり監査が好きだと気づくかもしれません。事前に想像できることには限界があるので、やる前にあれこれ考えるより、やってから考えたほうがいいと思います。

ただ、何か1つ軸をもって動くことが大切だと思います。僕の場合は、お金の課題を解決ということでした。転職時に全て自分の希望通りにいかないこともありえますし、入社後に外部環境や経営戦略の変化で当初の想定と変わることもありえます。
そのため、自分として大事にしたいこと、許容できることを掘り下げて考えて軸を1つ決めたうえで、次のキャリアを考えていくのが良いのではないでしょうか。

Profile
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中山 潤(なかやまじゅん)
2007年 有限責任監査法人トーマツ
2013年 アドバイザリー事業部へ異動
2018年 みそうパートナーズ株式会社
2020年 マネーフォワードシンカ株式会社 マネージングディレクター(現任)