転職?独立開業?ママさん会計士のライフキャリア。顧客満足の高い事務所経営の秘訣とは!?

転職?独立開業?ママさん会計士のライフキャリア。顧客満足の高い事務所経営の秘訣とは!?

小駒望公認会計士事務所 小駒望さん(公認会計士)

2010年に小駒望公認会計士事務所を設立し、8期目を迎える、公認会計士・税理士小駒望さんにお話を伺いました。残業ゼロで、所員の働きやすさを重視することで従業員満足度を高め、さらには顧客満足度も高まり、顧客紹介まで増えているとのこと。一体その秘訣は何なのか?
育児をしながらも事務所経営や、上場企業の社外監査役を務め、今後はさらに知見を深め、本質的に貢献できるステージにチャレンジしたいとの希望を語って頂きました。
ワークライフバランスを実現しながら自己研鑽する姿は多くの若手会計士・女性の会計士の今後のキャリアのヒントになるのではないでしょうか。

小駒望公認会計士事務所独立開業の背景―小駒さんが会計士を目指された理由から教えてください。
きっかけは大学生の前まで遡ります。海外留学をしていたこともあり、大学入学が遅くなり、入学当初から就職に対する危機感を持っていました。そこで商学部系の資格で強みになるような資格にチャレンジしようと思い、簿記1級を取得しました。その後、専門学校の先生の薦めもあって、会計士試験にチャレンジし、在学中に論文式試験に合格することができました。当時は資格取得後のキャリアまでは深く考えていませんでした(笑)

―新日本監査法人に入社されていますが、当時チャレンジしたいと考えていたことはありますか?
留学経験もあったので、将来的には国際業務に携わりたいと考えていました。
実際、日本で上場していて海外でも上場しているような会社を抱えている、国際部門に配属して頂きました。ただ、結果として監査法人の在籍が2年弱でしたので、直接国際業務に携われる機会はありませんでした。

―なぜ1年半で転職しようと思ったのですか?
一番の理由は、「20代のうちに新しいチャレンジをしたいという想い」です。監査法人で働いてみて、監査法人の中でキャリアアップしていくだけがキャリアではないと感じ、転職を決意しました。

―なぜ、バイアウトファンドに転職されたのでしょうか?
当時のイメージでは、金融業界のドラスティックな業務に憧れがありました。だからこそ20代のうちにキャリアの1つとして、その業務や環境にチャレンジしたいなと考えました。

―ファンドでのご経験を教えてください。
私が主に携わっていたのは金融機関サイドから持ち込みがあった案件に対して、情報の収集・分析とバリュエーション等の業務でした。
監査法人とは大きく異なる金融の考え方について学ぶことができ、とても勉強になりました。

―金融業界の仕事にチャレンジし、一番ご苦労されたことは何でしょうか?
一番苦労したのは、金融業界の常識に対する理解でした。
細かい知識をはじめ、そもそも何のためにこの業務が必要なのかといった基本的な理解を深めていくことは、学び多い経験でしたが、一方で大変でもありました。
また案件の状況で深夜にまで業務が続くこともありましたので、今振り返ると労働時間も苦労したポイントかもしれません。

―会計事務所を設立されていますが、その背景をお聞かせいただけますか。
ファンドがクローズすることが決定した機会に次のキャリアを考えました。
転職も考えましたが、数年コミットしてチャレンジしたいと思えることが見つからず、また監査法人に戻ることも考えていませんでした。
ただ、当時の知人の話から、監査法人での非常勤業務は多くある状況だと感じていたので、これは独立もありだなと思いました。資格を持っているので、もし独立して上手くいかなくても何とかなるなと(笑)当時は結婚もしていないし、子供もいませんでしたしね(笑)

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『残業ゼロ』の働き方改革がもたらした結果は!?―事務所を設立されて8期目ですが、これまでを振り返ってターニングポイントだったなと思うことはありますか?
そうですね、5年目くらいだと思いますが、私も所員も「働き方を変えた」ことですかね。
若手の女性税理士のスタッフがすごく頑張ってくれていて、私も彼女もかなり残業をしながら業務を回していました。
無理はしなくていいよと伝えていたし、彼女も大丈夫だと言ってくれていたのですが、このような状況が続けば、将来立ち行かなくなるなと感じ、事務所運営、仕事への関与の在り方を全面的に見直しました。

―具体的にはどのように見直したのでしょうか?
まず、残業しないと決めました。

―残業無しにして、実際の業務には支障は出ませんか?
やはり最初は大変で、繁忙期の2月、3月あたりは少し残業してもらうこともありましたが、それ以外では残業がないようにということを第一に考えていました。
現在、税理士試験の勉強をしているスタッフが3人ほどいますが、試験前に皆さんにきちんと希望通りのお休みを取って頂いていますし、良い方向に進んでいるなという感覚があります。

―残業過多の状況から残業無しの環境へどのように変化させていったのでしょうか?
人材を採用することと、業務を分散させることの二つを徹底しました。
人材採用はもちろん簡単ではありませんが、今の時代、働く側にも様々なニーズはあると思います。小駒望公認会計士事務所は何よりも働きやすさがウリです。おかげさまでとても良い方が集まってくれています。
業務の分散については、繁忙期に資料や業務の持ち込みをドーンとされるようなお客様には、予め年の途中から資料を出して頂けるように依頼する等の対策をし、業務量を分散させました。残業をゼロにしても、お客様からお預かりしている業務に遅れや支障は出ていません。
また、所員が余裕をもってお客様とフロントでしっかり向き合い、丁寧にきちんと対応してくれているので、おかげ様でお客様の紹介も増え続けています。
働きやすい環境を整えるのは大事だなと実感しました。

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会計士業界に対する展望・会計士キャリアについてのアドバイス―協会活動にも積極的にされていますが、業界について何か感じられることはありますか?
公認会計士資格試験の受験者数の著しい減少に大きな課題を感じています。
直近の受験者数が約1万人、私の受験時の半分くらいの人数です。
公認会計士資格に魅力を感じる人が減ってきているのだという危機感があります。

―公認会計士資格の魅力がなくなってきている要因は何だと思いますか?
魅力を感じる人が減ってきている大きな原因は、相対的なものだと考えています。公認会計士の資格には絶対的な魅力があると思いますが、例えば「会計士は年収が高い」ということだけでは、他社会一般と比較してのメリットは小さくなってきているのかもしれません。資格のフィールドを広げ、将来性を高めていく必要があると思います。

―今後のキャリアで悩んでいる会計士に、何かヒントとなるようなアドバイスを頂きたいのですが?
そうですね、将来のキャリアについて幅広く情報収集をすることではないでしょうか。自分の選択肢を広げる上で、色々なフィールドにいる方の話を聞くのは良いことだと思います。
よく考えた結果として監査法人にいるのが一番良いという選択肢も有りだと思いますし、業務の幅を広げるためにも監査法人の外に出るというのも有りだと思います。

キャリアを考えないまま現在の延長線上としてその環境にずっと居続ける事は、自己成長の点でもリスクになってくると思います。

私が監査法人から転職した当時は、今ほどネットサービスやSNSも発達していませんでしたし、外で活躍されている会計士の方にアクセスすることは簡単ではありませんでした。いろいろなお話をもっと聞く機会があれば選択肢も変わっていたかもしれませんね。

―「女性」会計士に対してメッセージをいただけますか?
その方の状況にもよりますが、仕事メインというよりも、自分の人生メインで考えたときに、自分の居心地の良い環境を作っていく上で、会計士資格というのは有効だと思います。
会計士資格を持っていても、仕事をやめるか続けるかの二択になり、あきらめてしまう方も少なくないと聞き、もったいないと感じています。
「自分はこうして働きたい」ということを、勇気をもって組織内で発信して頂くと、変わることもあると思います。それでも難しければ、他の選択肢を探してみると活躍の場は沢山あると思います。せっかくの資格ですから、最大限に有効活用して頂きたいですね。

結局、仕事とプライベートはライフスタイルを考えるうえでも切っても切れない関係にあります。会計士資格はライフスタイルを柔軟に変えていける非常に魅力的な資格だと思います。

―小さなお子さんがいると時間も限られると思いますが、小駒さんの平日のスケジュールや休日の過ごし方を教えてください。
土日は完全にお休みしていて、子供との時間を大切にしています。

平日は、6時前には起きて、子供の朝ごはん、保育園の用意をして7時半には主人と子供を送り出し、そこから家事をして出勤し、9時から業務スタートですね。
帰りは、17時半くらいには事務所を出て、保育園にお迎えです。
家に帰ったらご飯を食べさせて、遊んで、子供を寝かしつけながら21時頃に一緒に寝てしまいます(笑)
たまに締め切りが迫って気になることがあると夜中や早朝に目が覚めてしまうこともあります。

会計士小駒望氏の今後の挑戦―小駒望公認会計士事務所の今後の展望お聞かせください。
事務所を大きくすることには比重を置いていません。私も含めて働きやすさをすごく重視しているので、今後も働きやすさを確保していく事に取り組んでいきたいです。在宅勤務などの環境も今後整えていきたいなと考えています。

所員の働きやすさを確保していくことがお客様のサービス提供のクオリティを上げる事にもつながっています。事実、お客様から信頼していただき、お客様を紹介頂けるというサイクルに繋がっていますので、今後も顧客満足度を高めるためにも従業員満足度を高めていくつもりです。

―小駒様ご自身の今後のキャリアの展望はいかがでしょうか?
上場企業の非常勤監査役をお任せいただける機会がありました。社外役員のニーズも増えていますので、様々な機会にチャレンジし、知見を広げていきたいという想いがあります。
女性だからということで出来ることもありますが、知識経験を深め、本質的な貢献ができるようにしたいと考えています。

―本日はありがとうございました。

interview03_4.pngProfile
大学在学中に公認会計士合格 
中央大学商学部卒業
新日本有限責任監査法人
バイアウトファンド
小駒望公認会計士事務所設立

休日の過ごし方
子供と過ごす時間を大切にしています。