会計士の転職 "やりたい事"の見つけ方

会計士の転職 "やりたい事"の見つけ方

東京共同会計事務所 コンサルティング部 スーパーバイザー 清水寛司(公認会計士)

大手監査法人に約5年勤務し、東京共同会計事務所に転職した清水寛司さんにお話を伺いました。
会計士に限らず、一般的にも転職を考えはじめることが多い、3~5年目のタイミング。清水さんも5年というタイミングで東京共同会計事務所に転職されました。転職して約1年というフレッシュなタイミングでお話を伺うことができたので、清水さんが実感している、大手監査法人の良さと現職の東京共同会計事務所の良さを率直に伺うことができました。また、希望業界や条件が決まっていない状態からどのように考えて、チャレンジしていきたい事を見出してきたのか、キャリアを選択したのかも伺うことができました。

専門知を誰かの役に立つと考え目指した会計士
―会計士を目指したきっかけを教えてください。
高校生の頃に部活動やボランティア活動を通じて、相手が知らない専門的な知識は人の役に立つことを感じていました。そのため「専門性を身に着けることで誰かの役に立つ仕事をしたい」と思い、一番イメージの湧く医者を目指すことにしました。医学部合格後、血が苦手な自分を克服しようと献血に挑戦したのですが、案の定すぐ倒れてしまい、医学部進学は断念し進路を変えることにしました。
理系で数字は得意だったこともあり、数字に関わる仕事をしようと思って見つけたのが公認会計士の資格です。公認会計士は会計・税務の専門家として人の役に立つことが出来る職業だと感じ、会計士への道にと舵を切りました。

―合格後のキャリアはどのように考えていましたか?
まずは大手監査法人にしようと考えていました。
会計士の仕事で、色々な企業を見たり、経営陣や上層部にお会いできたりするということにとても魅力を感じていました。せっかく合格したので王道で勝負したいという気持ちもありました。

その中でも前職の監査法人にした理由は、人柄の良さと、国際関係の経験が積める事の二つが決め手です。海外留学などの研修制度を他と見比べたときに一番充実していたので入所を決めました。

―国際関係に興味をお持ちだったんですね!入所当初のキャリアイメージはありましたか?
当初5年~10年程は監査法人で働き続けていくのだろうというのと、その間に海外留学や海外駐在などの経験をしたいと思っていました。
同時にIFRSなどの海外の会計基準の知識も付け、日本基準だけではなく海外の基準にも対応できる会計士になりたいと考えていました。
実際、IFRS初年度適用の監査や海外留学を経験することができました。

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東京共同会計事務所に転職した理由とは
―監査法人から転職を考え始めた背景を教えてください。
最初に転職を考え始めたのは、監査法人に入所してから3年程経ち、シニアになる前くらいでした。
転職・起業した会計士の話を聞く機会もあり、「会計士の活躍の場は監査法人だけじゃない」と思ったことが転職を考え始めたきっかけになりました。

―どのように転職活動をされたか教えてください!希望の業界や条件などは決まっていたのでしょうか?
動き始めでは、希望業界や希望条件などはあまり定まっていませんでした。
自分がどの程度評価をされるのかもわからなかったので、転職サイトに登録して事業会社の経理・財務、経営企画や会計コンサル、戦略コンサル等、色々な会社を受けました。

多くの会社の方とお会いして話を聞いていく中で、外部の視点から専門知識を活かしたアドバイスができる会計士になりたいと改めて感じました。様々な立場の方とお会いすることで、経理・財務のように社内から自社の発展に尽力することの良さも考えることができ、自分の軸を決める上で非常に良かったです。

結果的に大手の外資系戦略コンサル含め多くの会社から内定を頂きましたが、その頃には会計士として会計や税務のプロフェッショナルサービスを提供できる人になりたいという軸を再度深く考え直していたため、迷うことなく転職先を選ぶことが出来ました。

―多くの内定から最終的に東京共同会計事務所に入社した決め手は何だったのでしょうか?
"色々なことが出来そうだ!"と思ったことが1番の決め手です。
大手のコンサル会社ではDD担当、バリュエーション担当、内部統制担当などと、チームによって業務領域がはっきりと分けられていると思いますが、東京共同会計事務所ではそういう垣根がなく、色々チャレンジできる環境なのでキャリアの幅が広がりそうだと思いました。

金融領域の専門性も身に着きそうですし、他にはない評価制度も魅力に感じました。東京共同会計事務所のコンサルティング部門では、各個人のP/Lがあり、それが評価の対象になっているため、やればやっただけ賞与に反映されます。
監査法人は、ほぼ一律の賞与であまり差がつかないので、個人PLで評価してくれるのはいいなと思いました。

転職後の成長実感
―入社されてから取り組んでいる仕事内容を教えてください。
一番多いのは太陽光や風力、バイオマス発電などのプロジェクトファイナンスの分野です。プロジェクトファイナンスにおいては、プロジェクト単位でSPCを立ち上げて太陽光や風力関係の資産、金融機関からの融資金、投資家からエクイティ投資金を保有させます。そして、そのプロジェクトの成功可否のみで資金を調達します。そのため、キャッシュフローを見て、本当にそのプロジェクトが成功するかの考察が必要です。
そういったキャッシュフローモデルでプロジェクトの20年間のP/Lや税金を予測し、会計と税務上の問題はないと保証する意見書を作成する業務を多く担当してきています。

更に、M&Aの財務・税務DD、バリュエーション、IFRS導入支援、医療法人の資金調達、内部統制の支援、会計処理のコンサルティング、監査、ローン債権の証券化に関するAUPなどを担当しています。期待していたことではありますが、本当に色々な仕事にチャレンジ出来るので、日々とても楽しいです。

―1年でかなり幅広い仕事にチャレンジされたのですね!お忙しかったのではないですか?
忙しい時期はもちろんありますが、監査法人時代より比較的余裕を持って働けていると思いますし、まだ新しい仕事にチャレンジしたいと思っています。今は税務実務に興味があるので、税務申告を行っている部門に「もし案件あったら担当させてください」とお願いしています。

―入社前と転職後のギャップはありますか?
仕事上の大きなギャップはありませんが、社風には監査法人と違って驚いた点があります。
監査法人で仕事している時は、チームでクライアントを担当するため、チームで集まって和気あいあいと仕事をするような雰囲気でした。

一方で、現職のコンサルティング部では、各コンサルタントが自身のP/Lを持つなど自己管理を行いながら、複数のプロジェクトに同時並行的に取り組んでいるため、雰囲気は異なります。いわばそれぞれの専門性を持った独立したプロフェッショナルが集まってきてプロジェクトに取り組んでいるようなスタイルです。
初めは面食らいましたが、専門性が高い先輩が多く、特に金融会計や税務に関する知識が深い方が多いので、新鮮で勉強になることが多く、プロとして成長している実感があります。

―転職しても監査法人の経験が活きているなと感じることはありますか?
監査法人時代に複数のタスクを同時に進行した経験が活きていると思います。
複数の監査クライアントを同時に担当していましたが、現職でも複数の会社、複数のプロジェクトを同時に担当し進行していきます。

監査法人ではだいたい1年間のスケジュールが決まっていましたが、今は案件ごとに期限が異なります。期限の違う案件を同時並行で進行させるので、監査法人とは異なるプロジェクト管理の経験もできています。

もう1つ、監査法人の視点や考え方を知っているのはとても役に立っていると思います。
今のクライアントからは「監査法人さんはこれで納得していただけるでしょうか?」と聞かれることもあり、監査法人に納得してもらうためにはどうすれば良いかを考える場面で監査法人の視点は大いに活用できると思います。

―東京共同会計事務所に転職して約1年ですが、成長実感はありますか?
まだまだこれからではありますが、税金の知識と金融の知識は成長した実感があります。
それと、売上に対する意識と積極性は強くなりました。監査法人時代は売上をそんなに意識することなく仕事をしていたと思います。
自分の担当した案件の売上が自分の報酬になっていくので、業務効率も以前より意識するようになりました。

―清水さん個人の今後の目標はありますか?
まずは、今の環境を活かして色々な仕事にチャレンジすること、チャレンジした仕事を通して新しい知識・スキルを身に付けることですね。そして、なるべく早くお客様の前に自分一人で立っても自信を持って説明でき、お客様の会計・税務の要望にしっかりと的確に応えられるようになりたいです。

また、大小さまざまなクライアント、国内だけでなく海外のクライアントにもしっかりと対応できる実力あるコンサルタントになっていきたいと思っています。まだ先の話ですが、将来的には自分の力でクライアントを獲得し、社外取締役や社外監査役なども兼ねていけるようになっていきたい気持ちもあります。

今は、金融知識や税金知識の専門性を高め、活かしていくことにやりがいや面白さを感じています。将来の目標に向けて、日々の仕事を着実に積み重ねていきたいです。


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やりたい事の見つけ方
―次のキャリアを模索している若手会計士の方にアドバイスをお願いします。
まず「会計」を極めたい人は監査法人で活躍された方がいいと思っています。私は転職してからの1年間で金融と税務の知識が増え成長できた実感はありますが、会計領域での知識は監査法人にいた頃と比べてもあまり増えていません。

外に出てみて感じるのは、監査法人には安定した成長の場があることです。"監査法人はいい会社だ"と認識した上で、それでも監査以外の分野に興味があるのであれば、他部署への異動や転職するのも選択肢の1つです。その際は、悩んでいるだけではなく情報収集の場に出るなどして自分の足で徐々に情報を仕入れていくところから始まるのではないかなと思います。

私自身も何社も面接を受けていくうちに方向性が見えてきましたし、やりたいことが決まらないという方は、見つかるように行動を起こしてみることがいいと思います。転職自体はやりたいことを見つけてからが良いですが、転職活動はやりたいことが決まっていなくてもチャレンジできますし、まずは行動してみることが大事ではないでしょうか。

情報や出会い等何か新しいきっかけがないと、いくら考えてもわからないと思いますし、ズルズル時間だけが過ぎてしまうともったいなく感じ焦ってしまいます。会計士は多くの選択肢がある分、次のキャリアを迷ってしまう職業だと思いますので、とにかくまずは動いてみて、自分がやりたい!と思えることを見つけてほしいです。


Profile
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清水 寛司(しみず ひろかず)
慶應義塾大学経済学部卒業、同大学院商学研究科修了
2013年、公認会計士試験に合格。有限責任あずさ監査法人にて、日本基準監査、IFRS初度適用・継続監査、公会計監査等に従事。同時に公認会計士試験受験者を対象とした採用活動プロジェクトにて、説明会等の企画・運営を行う。
2018年、東京共同会計事務所に入所。主としてプロジェクトファイナンス業務、M&Aに伴う財務・税務デューデリジェンス及び企業価値評価業務に従事。その他、内部統制・事業計画・資金調達・会計処理に関するコンサルティング等、クライアントの希望に応じた会計・税務関連サービスを提供している。