『大手監査法人からベンチャー企業への転職!』~常に挑戦し続ける会計士の仕事観とは!?~

『大手監査法人からベンチャー企業への転職!』~常に挑戦し続ける会計士の仕事観とは!?~

今回はベンチャー企業の、第一線でご活躍されている清水英次さまにお話を伺いました。若手会計士の皆様に向けて大手監査法人からの転職について、当時清水さんがどのようにお考えになって、どう行動をされたか等、貴重なお話を伺うことができました。特にベンチャー企業勤務へのチャレンジを視野に入れていらっしゃる方には非常に参考となるインタビューになっています。是非、最後までご覧ください。

プロフィール株式会社ベーシック
コーポレート部門 経営企画部長・内部監査室長
公認会計士 清水 英次

<略歴>
在学中に公認会計士試験に合格、卒業後は有限責任 あずさ監査法人(以下あずさ)に就職し、幅広い規模・業種のクライアントに対して監査業務を提供する。約10年勤務した後、事業会社での新たなチャレンジの場を求め、2020年にベーシックに入社し、現在は経営企画部長を務める。

なぜ会計士を目指そうと考えたのか

清水英次
清水氏

あまり高尚な何かがあるということは正直全然なくて、申し訳ないです。

私は受験を行わずに付属校から大学に進学しました。当然ですが、同級生の多くは大学受験してきた人達だったわけです。

高校時代にしっかり勉強してきた同級生達とその時の自分を比べると、当時大学生ながら、この人達と同じ土俵で勝負しても難しいかもしれないなと思いました。何か別のことで自分の価値を作っていかなければならない、自分だけの武器が必要と強く感じました。

併せて私が会計士を目指し始めた2008年頃はJ-SOX制度や四半期開示等の理由で大手監査法人を中心に大幅に増員しているタイミングで、会計士試験に合格しやすい環境だったため、数字に強かったということもあり会計士を目指し始めました。英語は特にからっきしだったので、会計というスキルがあれば、英語もやらなくても良いかなと(笑)
編集者
編集者

そうだったのですね!大学生にして、周りと差別化できるスキルを意識されていたというのがさすがだと思いました!

ちなみに英語は予想通り会計士になってから使う機会はあまりなかったですか?
清水英次
清水氏

いえ、意図に反して、実際は監査法人でも英語力は必要でした。場合によっては昇格にもTOEICの点数が考慮されます。結果、監査法人に入社後に英語を勉強したので、今では一般的な日本人の英語レベルよりはできるようになったかなとは思います(笑)。

監査法人は英語学習についても研修等で手厚くサポートしてくれたのでそれは非常にありがたかったです。
編集者
編集者
ですよね(笑)。でも社会人になってからお仕事をされながら苦手な英語もきちんとお勉強されたというのが、また一段と素晴らしいです!


監査法人在籍時に描いていたキャリア

清水英次
清水氏

これも高尚なことは言えないのですが、会計士たるもの、まずは登竜門として大手監査法人に入るという風潮に乗り、あずさに入社しました。

あずさに入ってからは、とりあえず目の前の仕事をがむしゃらにこなしながらも、気持ちのどこかではやはり王道のパートナーを目指していくキャリアかな、と漠然と思っていましたね。特別にやりたいこともなかったとも言えます(笑)。
編集者
編集者
皆さん最初はそうですよね!


監査法人から転職しようと考えたきっかけ

清水英次
清水氏

結局僕は、10年ぐらいあずさにお世話になったので、同期の中でも監査法人に長く留まった方だとは思います。

その10年の間にはやはり数年に一度、転職を検討するタイミングがありました。ただ、監査法人もキャリア形成を綺麗に設計していて、転職しようかなと思うタイミングで、絶妙にキャリアアップやロールの変更という刺激的なイベントがあるんです。

それぞれの立場で学べる事も変わるので、それならもうちょっと続けてみようという気持ちになり、気付いたら10年経っていました(笑)
編集者
編集者一同
(笑)(笑)(笑)
清水英次
清水氏

そんな私が10年目にして転職したのは、10年という区切りが良いタイミングで人生についてより深く考えたからです。監査法人という特殊な環境の中だけではなく、監査法人外の世界も見てみるのも、長い人生を考えたら良いかなと思いました。

人生100年時代になり70歳80歳まで働くときに、あと40年50年もずっと監査法人で監査をやりたいかを考えると、そこには少し違和感がありました。であれば、まだ若いうちにチャンスや選択肢が多いタイミングで、ということで転職に踏み切りました。

ただ、監査法人や監査実務自体にネガティブな気持ちは一切なくて、将来的に監査業界に戻ってくるとしても、外の世界をみることは必ずしも遠回りではないと思ったというのも大きいです。


どのように考えて、転職先の領域をきめていったのか

清水英次
清水氏

当時、仲が良かった友人達にベンチャー企業で働いているメンバーが多く、ベンチャー企業の魅力や働きがいについてよく聞いていたので、そもそも事業会社の中でも若いフェーズの会社に興味を持っていました。

もちろんコンサルティング会社や大企業への転職という可能性もありましたが、自分の性格や価値観的に、新しいことにどんどんチャレンジできる環境が合っていると思ったので、ベンチャー企業を中心に検討しました。
編集者
編集者

なるほどですね!大手監査法人は立派な組織なので、安心感はある反面、仕方のない事なのかもしれませんが、デメリットとしては、社内の調整や伝統に阻まれて身動きがとりづらい雰囲気はベンチャー企業に比べてしまうと、ありそうですよね。

ご自身の性格と社風・環境との相性で転職先を絞っていくのも大切な視点ですよね。

清水英次1


最終的に現職に転職した決め手とは

清水英次
清水氏

当時は友人に話を聞いたり、転職サイトにも登録したりして色々と情報収集をしました。僕は正直、業種や業態には大きなこだわりがあったわけでもなく、漠然と「何か世の中の為になるようなことがしたい」と思っていました。それを言ったら大体どの会社でも何かしら社会の役にたっているとは思いますが(笑)。

その中でも発展途上というか、成熟してない企業の方が刺激的で面白いだろうという考えがあったので、成長中のベンチャーを中心に転職活動をしていました。そのときに友人経由で、現職のベーシックがIPOを目指していくにあたって会計士を探しているという話を聞き、繋いでもらいました。

転職先を選ぶときに社外から会社の実態は分かりにくいので、友人経由であることで安心できた部分は大きかったですね。
編集者
編集者

そうだったのですね!発展途上のベンチャー企業は特に、面白みがある反面、リスクも潜んでいますから、慎重に判断する必要がありますね。

あとは事業会社の場合、何よりも経営者の方との相性も大事なのかなと思いますが、その点はいかがですか?
清水英次
清水氏

その通りです。僕も最初はカジュアル面談で話をさせてもらったのですが、うちの社長の秋山は人を惹きつける力が強く、まさに人柄に惹きつけられたというのはありましたね。

経営陣とのコミュニケーションという意味でも相性はもちろんありますが、経営陣の考え方がその会社の組織風土に直結すると思っていますので、経営陣の考え方が自分と合うのであれば自分にとっても居心地の良い会社である可能性が高いと僕は思います。


現職の仕事内容と魅力・やりがい・転職後のギャップ

編集者
編集者
事業会社だと、やっぱりその事業を好きになれるか、自分も領域に詳しいかというところも大事かなと思っていますが、その辺を含めて、清水さんはいかがでしょうか?
清水英次
清水氏

それもおっしゃる通りです。監査法人時代に担当していたクライアントに近い業界に絞るのも選択肢としてはありますね。ただ、僕の場合は180度違いました。チャレンジングな環境に惹かれたということもあり、10年過ごした監査法人の流れから、ガラッと変化させ、結果として飛び込んだのは、過去にあまり関与の無い業界でした。

最初は覚えることも多く環境に馴染むのも大変だったのは事実です。ただ、僕がジョインしたときのベーシックはベンチャーといっても、2~3人でやっているような駆け出しベンチャーではなく、ある程度の土壌はでき ている状態でした。ですので、大手監査法人という整った環境から、いきなり野に放たれて右も左もわからずといった状態ではなく、ある程度整った会社を選んだのは監査法人からの初めての転職としては正解だったと思います。

一方で、まだまだ成長しているフェーズの会社で、大企業に比べると整いきっていないので、新しいチャレンジもできるというワクワクする環境です。発展途上のベンチャーを求めての転職でしたが適度な変化量の環境を選ぶことができたと思っています。
編集者
編集者
なるほど~!安心感とワクワク感のバランス!素敵ですね!
初めてのベンチャー企業への転職の際には大事なポイントですね。
清水英次
清水氏

ですね!あとは転職して一番感じたのは、業務のスピード感が全然違うという点です。大手監査法人の場合はどうしても、意思決定を行う場合、根回しの時間、連絡待ちの時間、会議体の設定の時間等、どうしても時間がかかってしまうことが多々ありました。

監査という品質が求められる職業である以上、しょうがないとは思っています。それが今は、ちょっとしたアイディアや、効率の良いようにルールを変えたい等の提案も、逆に上司から「今からやればいいじゃん」「明日からやろうよ」となり迅速に意思決定が行われます。

監査法人時代は仕事が早いほうだったと思いますが、ベーシックに来てからは急かされることもあり油断できない環境です(笑) 。
編集者
編集者

社内調整のスピード感は大事ですよね。クライアントサービスの速さにも影響する部分ですので、レスポンスの早い経営者の方だと気持ちよくお仕事ができそうですね!

改めて今の清水さんのお仕事の具体的な内容も含め、やりがいの部分などもう少しお話いただいてもよろしいですか。
清水英次
清水氏

もちろんです。今の仕事は、経営企画部長として計画作成、予実管理、計画を達成するための議論を主導していくポジションです。そして計画通りにコミットさせていくためにどういうことができるかということを、経営陣含めて議論を行っています。

また、今後より責任ある立場の企業になっていくためのコンプライアンス・ガバナンス強化や財務面の議論、幅広く担当しています。IPOという短期的な目標地点があるので、まずはそこを目指して課題を一つ一つ整理していくことで強固なコーポレート体制の構築をしていくなど日々新しい問題にチャレンジしています 。

清水英次2


監査法人での経験が活きる瞬間

清水英次
清水氏

監査法人勤務の経験もそうですが、公認会計士はやはり会計のプロですので、その会計の知識や、会計の知識に限らなくても数字に強いという点は、かなりプラスとして活きていると感じます。

また、監査の根幹である監査計画をしっかり作る経験から、計画を立ててしっかりその通り実行する力、それは事業会社に入っても間違いなく活きる重要なスキルです。

監査法人においてクライアントとのコミュニケーションで学んだ部分も大事です。クライアントに対して厳しいことを言わないといけない場面もたくさん経験しましたが、ストレートに伝えるのではなく、うまく誘導する能力は結構鍛えられたかなと思います。
編集者
編集者
数字的な観点からロジカルに分析してお話する能力と、柔軟な対人折衝能力、どちらも併せ持つ会計士さんは改めて優秀な人にしかこなせない素晴らしいお仕事ですね!


若手会計士に一言キャリアアドバイス

清水英次
清水氏

監査法人という環境の中に留まって、「自分のやりたいことがわからない」「何に向いてるのかわからない」と考えていても、おそらく答えにたどり着くのは難しいですよね。とりあえず一歩を踏み出す、行動を起こしてみるのが一番良いと僕は思います。

会計士の資格があるのは本当にセーフティーネットですし、会計士の資格に対する信用もありますので、新しいことにチャレンジすることに殆どリスクは無いと思っています。一度きりの人生、逆にチャレンジしない事の方がリスクが大きいかもしれません。やりたいことがあれば今日を一日目として是非チャレンジしてほしいですね。
編集者
編集者

素敵なお話です。私のような普通のサラリーマンは他に変わりが幾らでもおりますから、一度正社員という安定した立場を与えて貰えたらそこから移るのはリスクがとても高いですが、三大国家資格といわれる公認会計士の資格をお持ちの皆様はそれだけで、圧倒的な希少価値がありますから。

たとえ失敗したって再就職の働き口は選べる立場にあると言えます!学生時代に青春を犠牲にしてご苦労された分、ぜひ夢のある主体的でワクワクするキャリア形成をして頂きたいと改めて思いました!

清水さん、本日はご多忙の折、貴重なお時間とお話をありがとうございました! 今後の清水さんとベーシックさんの益々のご活躍を応援致しております!

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プロフィール清水英次3
清水 英次 氏 (公認会計士)
株式会社ベーシック
コーポレート部門 経営企画部長・内部監査室長
有限責任 あずさ監査法人 出身

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